小児神経外科の対象として種々の神経系疾患に外科治療の適応が検討され実施されてきたが, 手術療法を 1) 根治的手術 2) 機能再建手術 3) 薬物補足的手術 4) 姑息的手術5) 無適応手術と分けることができる.小児の脳機能の秀れた可能性からみて根治的手術には積極的な手術侵襲を加えても予測以上の改善を期待しうるものがある一方, 機能再建手術には脳の発達を阻害する要素が加わって所期の目標に達し得ず, 姑息的手術に終る症例も少なくない.中でも手術療法が単なる外見的整復に過ぎないものや, 患児の生存に貢献するところの乏しいものに対してどのような立場で対処すべきかはきわめて複雑な問題を招く.種々の原因に起因する水頭症を例にとり脳神経外科医の立場を述べた.