脳と発達
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子宮内発育遅延胎仔の脳発育に関する実験的研究
江波戸 久元田角 喜美雄須永 進Kazuo Okuyama
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1981 年 13 巻 5 号 p. 406-415

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抄録

子宮内発育遅延が胎仔脳発育におよぼす影響についてラビットを用い実験的研究を行ない以下の結果を得た.
(1) ラビット胎生末期における子宮螺線動脈結紮法により低酸素負荷と, 肝グリコーゲン量の減少を伴う低栄養状態を胎仔に生じさせることにより, 体重, 脳重量, 脳DNA量の減少を認めたが, 脳蛋白質/DNAは対照群と差を認めなかった.
(2) 上述の負荷をラビット胎仔に生じさせることにより, 髄鞘形成への影響を生化学的に検討した結果, ミエリン総蛋白質量の減少と, ミエリン構成蛋白質成分, 特に塩基性蛋白 (basicprotein, B. P), プロテオリピドプロテイン (proteolipid protein, PLP), DM-20 proteinの量的な増加傾向の遅れが著明であり明らかに髄鞘形成の遅れを示した.
(3) 以上の成績は子宮内発育遅延胎仔の脳発育を蛋白質代謝の面から検討する病態生化学の一つの糸口になると考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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