脳と発達
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熱性痙攣における脊髄液prostaglandin Fの検討 (第一編)
玉井 勇武井 忠夫前川 喜平渡辺 幸彦
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キーワード: 脊髄液, 熱性痙攣
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1981 年 13 巻 6 号 p. 497-503

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抄録

prostaglandin E1 (PGE1), prostaglandin E2 (PGE2) は哺乳動物の体温中枢においで発熱作用を有し, pr0staglandinF2α (PGF2α) は脳血管収縮作用を示す.我々は熱性痙攣の発生機序を検索するため脊髄液 (CSF) PGF2α をラジオイムノアッセィにより検討した。対象は熱性痙攣18名, てんかん18名, 髄膜炎23名, 非神経疾患14名の合計73名である.
(1) 無熱時のCSFP GF2α の値は疾患群別の有意差は見られなかった. (2) 脊髄液採取時の体温が37.5℃ ~40℃ の時の疾患群別検討では非神経疾患に比較しで熱性痙攣は7倍, 髄膜炎では3倍の値の上昇が見られたが, でんかんでは有意差は見られなかった. (3) 熱性痙攣において発作1日以内の症例の値は1日以上経過の症例に比較して著高を示した。(4) CSFP GF2α と脊髄液の細胞数, 蛋白, 糖とは相関が見られなかつた.
以上の結果よりヒトの発熱の際に中枢神経系のPGF2α が上昇傾向を示し, 特に熱性痙攣, 髄膜炎の症例で著増すると思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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