脳と発達
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CPK持続高値を伴った周期性四肢麻痺の一症例
長浦 智明隅 清臣安部 治郎清水 寛尾上 幸子藪内 百治仙波 恵美子橋本 重夫
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1982 年 14 巻 1 号 p. 49-56

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抄録

歳の男児で腰部及び下肢脱力発作を主訴とした非定型的な周期性四肢麻痺を経験した. 血清CPK値が持続的に高値を示し, 自然発作時に血清Kの低下を認めたが, 血清Kが低下しても必ずしも発作はおこらなかった. 非発作時の血清Kが正常下限であった場合でも, 赤血球内K濃度は低く, 発作時ではさらに低下した. 短腓骨筋生検の光顕では空胞を認めなかったが, 筋の大小不同, タイプI線維の萎縮, angular fiberを認めた. 電顕では, t-tubuleの軽度拡大, t-tubuleにつながる限界膜に囲まれた空胞形成, 神経末端の終板内の空胞などを認めた. 腓腹神経生検では大径有髄線維の減少, シュワン細胞の膨化像, 有髄線維の脱髄像を認めた. 本症例は臨床的に周期性四肢麻痺と診断したが, 血清CPKの持続高値と神経原性の病理変化を認めた報告はなく, 興味深い症例と思われるので文献的考察を加えて報告した.

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© 日本小児小児神経学会
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