脳と発達
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特別発言: 熱性けいれんの予後
Follow-up studyを用いての検索
山村 均中西 雅夫吉水 俊一木村 敏
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1982 年 14 巻 2 号 p. 138-143

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抄録

熱性痙攣の予後特にてんかんとの関係を明らかにするために,「名古屋市小児心身発達追跡調査」の対象児2,005名を用いて検索を行なった. 15歳時検診までに得られた結果は,(1) 熱性痙攣児は対照児に比べて各年齢とも脳波異常を示す率が高い. (2) 熱性痙攣が低い発熱で発来した者に, 脳波異常が出現しやすい. (3) 父親に比べて母親に脳波異常を多く認める. 両親に脳波異常がある時には, 対象児も脳波異常を高率に示す. (4) 熱性痙攣児は対照児に比べて, 胎生期に何らかの障害を有することが多い. (5) 継時的脳波変化を見ると, 4-6歳, 11-14歳で脳波異常が高率となる. 焦点性棘波及び棘徐波結合を示す者は予後に問題が多い. (6) 無熱性痙攣を発症した症例は, 種々のrisk factorを有している. したがって熱性痙攣を単一のものと規定せず, てんかん好発時期以後までの長期にわたる追跡調査と, 必要に応じてこれらに対する予防的治療が必要であると思われる.

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© 日本小児小児神経学会
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