脳と発達
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熱性痙攣の治療
隅 清臣滝沢 恭子清水 寛安部 治郎三牧 孝至藪内 百治
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1982 年 14 巻 2 号 p. 144-150

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抄録

熱性痙攣の予防的治療方針をたてるために熱性痙攣からてんかんへと移行した症例の危険因子を検討し, さらに熱性痙攣の再発予防効果を調べた.
1) てんかん患児932例のうち, 熱性痙攣の既往をもつものは115例 (12.3%) であった.
2) てんかんへ移行した熱性痙攣の約半数は危険因子を認めなく, てんかんへの移行の予測はきわめて困難である.
3) 熱性痙攣のうち, 半身痙攣, 30分以上の発作または1歳未満で分娩障害, 発達障害, 年5回以上のいずれかをもつものには予防的治療が必要と考えられる.
4) 危険因子が多いほどてんかんへ移行しやすく, また熱性痙攣からてんかんへの移行期間も短くなる傾向がある.
5) 有効血中濃度を維持すれば, 熱性痙攣の予防的治療効果は期待できる.

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© 日本小児小児神経学会
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