小児脳変性疾患47例のうち, 脳灰白質に主病変をもつ疾患の末梢神経伝導速度は, 正常またはごく軽度の低下を示した. その代表疾患であるTay-Sachs病の脳波は, 発症早期より著明な棘波・徐波の出現を認め, 病勢の進行に伴って, 低電位化と棘波の減少をみた. 一方主として脳白質の脱髄を示すleukodystrophyのうち, 幼児型異染性脳白質ジストロフィー (MLD) とCockayne症候群は, 早期から神経伝導速度の著しい低下を示し, adrenoleukodys-trophyとAlexander病は, 神経伝導速度が正常またはごく軽度の低下を示した. またMLDの脳波は, 病勢の進行に伴って, 徐波・速波・左右差が出現した. したがって, 小児脳波変性疾患のうち, 主病変が灰白質にあるものと, 白質にあるものでは, 神経生理学的に異なった態度を示すと推測される.