脳と発達
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テトラヒドロビオプテリン欠乏症の早期診断
成沢 邦明新井 宣博早川 洋舘田 拓多田 啓也
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1982 年 14 巻 4 号 p. 424-430

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抄録

高Phe血症をともない重篤な中枢神経症状を主徴とするBH4欠乏症の早期診断法として, 乾燥濾紙血症のDHPR活性の測定と尿中プテリン誘導体を検討した. 新生児を含めたコントロール129例のDHPR活性は242-848nmol/min/discの範囲にあり, 一方, 患者活性はほぼ0であった.濾紙血液DHPRは安定な酵素であり, 30℃10日間の保存で活性の低下をみなかった.以上の結果は本法によってDHPR欠損症が容易に診断しうることを示唆している. HVEとペイクロを用いる二次元展開法で沃素処理尿及びアスコルビン酸添加尿のプテリン誘導体を検討した結果, ビオプテリン欠乏症: Ne/B比の高値, DHPR欠損症:(BH2+B) の増加をみるがBH4を欠く, PKU: BH4の増加, という特徴あるパターンを示した. 沃素処理尿ではB, Ne, BH4の定量が可能であり, 各亜型の診断に有用である.一方, アスコルビン酸添加尿を用いてのHVEは前処理を必要とせず, 一度に多検体を処理できる点, マススクリーニングに有用な方法と思われる.

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© 日本小児小児神経学会
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