脳と発達
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頭部CT上高度の脳軟化を示す乳児例の臨床的検討
江田 伊勢松吉野 邦夫中井 挙子森田 元章高嶋 幸男
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1982 年 14 巻 5 号 p. 480-488

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抄録

新生児期より乳児期において実施された頭部CTにおいて, 多発性脳軟化を示した症例の継時的CTと脳波を中心に臨床症状を検討し, その成因について考察した.CT上, 大脳半球に多発性嚢胞状に低吸収域を認める2症例を多発性嚢胞群とし, びまん性に低吸収域を認める2症例をびまん性嚢胞群としてとり扱った.
1. 多発性嚢胞群のCT所見は剖検例 (症例1) において確認された.症例2は双胎であり, 病歴より子宮内発症が疑われた.
2. びまん性嚢胞群の2症例には呼吸停止のエピソードを認めた.症例3ではCTおよび気脳写での多発性嚢胞の所見からびまん性嚢胞群へ, また症例4では初回CTのほぼ正常像からびまん性嚢胞群への変化を認めた.
3. 脳波所見では, びまん性嚢胞群は2症例とも部分的徐波は認めるが, ほぼ平坦であった.多発性嚢胞群の2症例は, 一部に低電位を示し, 2-5HZの徐波を中心とした活動を示した.
4. 多発性嚢胞群にとどまるか, びまん性嚢胞群に移行するかは, 低酸素症, 脳循環障害の程度および年齢による脳の融解・修復力の程度が強く関与すると考えられ.

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© 日本小児小児神経学会
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