脳と発達
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Sanfilippo症候群B型の同胞例
玉川 公子中島 末美寺内 昭子小出 博義森松 義雄西谷 修三村 明朗
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1983 年 15 巻 1 号 p. 57-66

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抄録

歳女と15歳男のSanfilippo症候群B型 (酸性ムコ多糖体蓄積症III B) の同胞例を報告した.
両親はいとこ同士で長兄も同様の臨床症状を示した. 4-8歳頃より歩行障害・知的退行で発症し, 徐々に進行し, 全身の振せん・ミオクローヌス・運動失調でねたきりの状態となった. 肝脾腫大はなく, 骨形成不全も軽度であった. 尿中ヘヘパラン硫酸を主としたムコ多糖の排泄増加が認められ, 白血球・培養線維芽細胞でN-acetyl-α-D-glucosaminidaseの活性が認められないかまたは著明に低下を示し, 他のライソゾーム水解酵素活性はほぼ正常であった. 骨髄血中にみられた蓄積細胞および生検皮膚組織の電顕所見では, 多数の空胞がリンパ球・線維芽細胞・血管内皮細胞内に認められ, 少数のmembranous cytoplasmic body (MCB) 様小体が認められた. 尿中へのシアル酸排泄量は正常対照の2-2.5倍の増量を示したが, 線維芽細胞アリダーゼ活性は正常であり, 二次性のシアル酸代謝異常が考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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