脳と発達
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小児硬膜下膿瘍の長期予後
乳幼児期発症群と年長児期発症群との比較検討
福岡 秀和高木 卓爾水野 志朗若林 繁夫永井 肇石川 達也中西 雅夫
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キーワード: 小児硬膜下膿瘍, 予後
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1983 年 15 巻 4 号 p. 310-316

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抄録

小児硬膜下膿瘍7手術例の長期予後について報告した.発症時年齢は生後1ヵ月目から15歳までであり, 性別では男児5例, 女児2例であった.7症例のうち, 1例は術後4年目に肺炎で死亡したが, 他の6例はいずれも術後5年以上生存している.著者らは発症時期により, 乳幼児群と年長児群に分け, 両者の予後をCT, 脳波, 知能検査, 日常生活の面から比較検討した.
その結果, 感染原因として副鼻腔からの感染が多い年長児期発症群は予後良好であり, 先行する硬膜下腔疾患 (硬膜下水腫) に感染したり, 髄膜炎に合併する乳幼児期発症群では予後不良であることが判明した.この理由として乳幼児硬膜下膿瘍では, 本症の発症以前にすでに何らかの脳障害が存在していた可能性のあること, 年長児に比較して感染防御機構が未熟で脳実質に与える損傷が大きいことなどが考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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