脳と発達
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単純ヘルペス脳炎後の硬膜下血腫の1症例
斉藤 益子湊 ひろみ大出 集桃木 俊郎竹内 東太郎有泉 基水
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1983 年 15 巻 4 号 p. 340-344

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抄録

単純ヘルペス脳炎の脳病変は, 一般に側頭葉に限局したものが多い. 我々は, CT上広汎な脳病変を示し, 発病後2ヵ月頃に慢性硬膜下血腫をきたした9ヵ月女児例を経験した. 児の免疫能のうち血清IgAは, 発病初期に5mg/dl以下と低値を示し, 1年経過した現在も2mg/dlと低値である所から, 本症例の広汎な脳病変の病態発生には, 低IgA血症が関与していたと推察した.また, 慢性硬膜下血腫をきたした点については, ヘルペス脳炎で認められている壊死性脳炎あるいは出血性脳炎と同一の発病機序によることも考えられるが, 血腫発現時期を考慮すると, 脳炎後の脳萎縮に起因したものと推定される.

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© 日本小児小児神経学会
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