脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
Porencephalic cystに対する外科的処置により著しく改善したLennox-Gastaut症候群
Generalized cortico-reticular epilepsyに関する一考察
石川 達也山田 克己金山 学中里 三紀子粟屋 厚子若林 繁夫清水 国樹高木 卓爾杉浦 寿康
著者情報
キーワード: Lennox-Gastaut症候群
ジャーナル フリー

1983 年 15 巻 4 号 p. 356-365

詳細
抄録

部分発作で発症しLennox-Gastaut症候群に進展, porencephalic cystの外科的処置により改善した6歳男児を報告した.
患児は, 3歳時に意識減損発作で発症, 脳波上, 左側頭部のfocal spikeと両側性全汎性の速波burstが認められた. 発作はその後増強し, 非定型欠神, tonic spasms等が4歳2ヵ月時より毎日頻回となり知能も低下, 間歇期脳波でdiffuse slow spike-and-wave dischargeが出現し, Lennox-Gastaut症候群に進展したと考えられた. 頭部CTで左側頭前部にporencephaliccystが見出され, 4歳6ヵ月時, 開頭術を行った。脳表が膨隆し, cystは脳実質内に存在し, そこより黄色液が約20ml採取された. 手術3日後より発作は1年間freeとなり, 脳波も著しく改善した.
この改善は, 皮質病巣に対する処置によって, 皮質-皮質下網様体投射機構間の異常な相互連関をたち切ったことによりもたらされたと考えられ, Lennox-Gastaut症候群はgeneralizedcortico-reticular epilepsyとする考えを支持するものである.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top