1983 年 15 巻 4 号 p. 356-365
部分発作で発症しLennox-Gastaut症候群に進展, porencephalic cystの外科的処置により改善した6歳男児を報告した.
患児は, 3歳時に意識減損発作で発症, 脳波上, 左側頭部のfocal spikeと両側性全汎性の速波burstが認められた. 発作はその後増強し, 非定型欠神, tonic spasms等が4歳2ヵ月時より毎日頻回となり知能も低下, 間歇期脳波でdiffuse slow spike-and-wave dischargeが出現し, Lennox-Gastaut症候群に進展したと考えられた. 頭部CTで左側頭前部にporencephaliccystが見出され, 4歳6ヵ月時, 開頭術を行った。脳表が膨隆し, cystは脳実質内に存在し, そこより黄色液が約20ml採取された. 手術3日後より発作は1年間freeとなり, 脳波も著しく改善した.
この改善は, 皮質病巣に対する処置によって, 皮質-皮質下網様体投射機構間の異常な相互連関をたち切ったことによりもたらされたと考えられ, Lennox-Gastaut症候群はgeneralizedcortico-reticular epilepsyとする考えを支持するものである.