脳と発達
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新生児中枢神経系感染症の診断
鳥居 昭三
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1984 年 16 巻 2 号 p. 103-108

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抄録

新生児中枢神経系感染症の診断において留意すべき事項を検討し, 以下に要約した.
1) 症状は非典型的で, 全身感染症の一部分症としてみる場合が多く, 神経学的異常は全く欠く場合が少なくない.したがって新生児の呈するあらゆる徴候に対して, 常に中枢神経系感染の併存を疑いroutineに髄液の検索を要する.
2) 無菌性髄膜炎・脳炎の髄液所見は軽微で, その診断には髄液細胞数の正常上限 (<30/3) についての明確な概念をもつことが前提となる.
3) 病原としてenterovirusが重要であるが, 他の不明の病原に対して解明への努力を要する.神経学的予後は病原不明群により不良のようである.
4) 病原の如何に関せず血清bilirubinが低値でも, 髄膜の炎症・血液脳関門透過性亢進に基づく核黄疸併発の危険性を常に考慮すること.
5)“partial treated meningitis” の鑑別には発病第1週における髄液総蛋白量とその推移が重要で, 化膿性髄膜炎では250mg/dl以上, 無菌性髄膜炎ではこれ以下の場合が多い.

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© 日本小児小児神経学会
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