週齢のヒト胎児脳の形態を水平断連続切片で調べ, その形態の概略を述べ, 連続切片の一部を写真で示し, 大脳の各構造別体積を画像解析装置を用いて計測, 算出し, 2例の正常成人脳と比較検討した.胎児では終脳の外套の占める割合が低く, とくに大脳皮質の髄質に対する割合は胎児0.58, 成人1.26と大きな違いを示した.外套と側脳室に左右差を認めた.大脳基底核, 間脳, 脳室系の占める割合は成人に比べて大きかった.胎児脳には特有な胎生期脳室周囲細胞層があり, 大脳の5.2%を占めた.
連続切片による検討は詳細な形態の観察のほか肉眼的あるいは顕微鏡的な数量的解析にきわめて有用である.