1984 年 16 巻 5 号 p. 359-364
Lissencephalyは神経細胞移動の障害に基づいて発生する中枢神経奇形である.我々はCTにてlissencephalyと診断した3症例に対し計6回の睡眠ポリグラムを記録し, 1例には同時にホルモン分泌リズムを検討した.ポリグラムの結果は (1) REM睡眠は出現したがやや低値を示した. (2) REM睡眠時の急速眼球運動 (REMs) の出現頻度は群発性のREMsが低値を示した。(3) 睡眠中の体動は2例でGMもTWも減少しており, GMに占めるphasic movementの割合が増加していた. (4) 睡眠・覚醒リズムは3例ともcircadian rhythmは認められた. (5) 1例のコーチゾル日内リズムは出現したがGH, PRLのsleep enhancementは認められなかった.
以上の結果, lissencephalyの病変について, phasic movementの増加は上位抑制機構の欠如を示し, TWの減少は錐体路の形成不良および脳幹部の障害, 群発性のREMsの減少は脳幹部の障害が存在するものと考えられた.