脳と発達
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高メチオニン血症として経過観察されていたホモシスチン尿症の乳児例
渡辺 俊之黒田 泰弘内藤 悦雄伊藤 道徳武田 英二戸島 健治宮尾 益英富田 智子古川 正強
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1985 年 17 巻 3 号 p. 265-268

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抄録

先天性代謝異常症の新生児マス・スクリーニングで血中メチオニンの増加が認められた場合にはホモシスチン尿症の診断のために尿中ホモシスチンの定性反応, および定量が行われる.新生児マス・スクリーニングで発見されたホモシスチン尿症の自験例では尿中ホモシスチンの定性反応であるcyanide-nitroprusside反応はしばしば陰性を示した.またcyanide-nitroprusside反応の100倍以上の感度をもつアミノ酸自動分析計で定量分析しても生後3カ月まででは, 尿中にホモシスチンが検出されないこともあった.したがって, 新生児マス・スクリーニングで血中メチオニンの増加が見出された症例では尿中ホモシスチンが検出されなくても酵素欠損が確認されるまでは, アミノ酸自動分析計を用いて血中, 尿中のメチオニン, ホモシスチンを反復定量することが必要と考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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