1985 年 17 巻 5 号 p. 412-419
異常脳波の形成における免疫反応の関与について検討するために, 免疫複合体腎炎の3症例に脳波検査と腎生検を施行し, 腎組織所見に基づき脳病変の推定を試みた.
紫斑病腎炎 (症例1) では発作波を認め, ガンマグロブリン静注により悪化したが, 溶連菌感染後亜急性腎炎 (症例2) および膜性増殖性腎炎 (症例3) では徐波化を認めたのみであった.組織学的障害部位は症例1はメサンジウムが中心だが, 症例2, 3では基底膜にも著明であった.病初期より治療した症例1, 2は軽快したが, 開始が遅れた症例3では, 免疫療法でむしろ悪化した.
以上の現象に基づき, 紫斑病腎炎における発作波の形成およびてんかんのガンマグロブリン療法の機序に関する考察を加えた