脳と発達
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ジストニアに対しtrihexyphenidyl大量療法が有効であったWilson病の1例
平林 伸一神田 仁津野 隆久赤羽 太郎小口 喜三夫柳沢 信夫
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1985 年 17 巻 6 号 p. 571-576

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抄録

Wilson病の経過中, 上気道感染を契機に多彩な神経症状が急激に出現した16歳男子例を経験し, その主要症状であるジストニアと構音障害 (構音不能) に対しtrihexyphenidyl大量療法を試みた. ジストニアは軽減し, 歩行および書字も可能となったが, 構音不能の改善はみられなかった. 不機嫌, 気分の易変性等を経過中に認めた. また, ジストニアは午前中の方が午後より強い傾向を示したが, 髄液中ホモバニリン酸の日内変動はみられなかった.
Wilson病での症候性ジストニアをはじめ, 小児でみられる種々のジストニアに対し, 本治療法は試みられる価値のあるものと考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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