1987 年 19 巻 2 号 p. 140-149
Carnitine palmitoyltransferase (CPT) 欠損症には臨床的, 生化学的heterogeneity があるため, 最終の生化学異常を診断する前の臨床的アプローチが必要となる.私達は自験例 2 例において, 1) 自転車エルゴメーター負荷試験および, 2) 空腹試験での血清CK値の変動, 3) 前腕阻血運動負荷試験での血中乳酸, アンモニア, ヒポキサンチン値の変動, 4) 長鎖・中鎖脂肪食負荷試験でのケトン体産生能について検討した結果, CPT欠損を含むエネルギー代謝異常症の非観血的診断方法として, これら一連の負荷試験が有用であると考えられた.更に, 患児の経時的観察や日常生活の指導の点からも有益と考えられた.ただ判定に際しては, 総合的に行う必要がある.