脳と発達
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年齢依存性てんかん性脳症に対するACTH療法の再検討
市場 尚文山磨 康子大田原 俊輔
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1987 年 19 巻 3 号 p. 190-197

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抄録

年齢依存性てんかん性脳症に対するACTH療法の再評価, 並びにACTHの作用機序の解明に資する目的で脳波学的, 神経放射線学的および内分泌学的検討を行った.対象はLen-nox症候群8例, West症候群15例, early-infantile epileptic encephaiopathy with suppres-sion-burst (EIEE) 1例の計24例で, これらに対してCortrosyn ZによるACTH療法を延32回行った.
全例で発作は抑制され, Cortrosyn Z連日筋注期間は14日~40日間 (平均25日間) であった.用量は0.011~0.039mg/kgであったが, Cortrosyn Z 0.016mg/kg以下の少量投与でも有効例が多いことが注目された.Cortrosyn Z投与量と血清cortisol値 (基礎値および反応値), CT上の脳退縮, 脳波の低圧化はそれぞれ相関を示したが, 脳波上の効果とは相関しなかった.
ACTHの作用機序としてglucocorticoldを介した薬理作用よりもむしろ, 脳に対する直接作用がより大きな役割を演ずることが示唆された.

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© 日本小児小児神経学会
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