脳と発達
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新生児期, 乳児期早期から経過観察した脳性麻痺症例の検討
姿勢反応・原始反射を中心に
二木 康之安部 治郎田中 順子
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1987 年 19 巻 3 号 p. 222-228

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抄録

新生児期, 乳児期早期から経過観察しえた31例の脳性麻痺症例について, 筋緊張, 姿勢反応, 原始反射の月齢による推移について検討した.原始反射については正常小児から得られた結果と比較した.筋緊張は乳児期早期から半数以上の症例で異常を示した.Vojtaの提唱する7つの姿勢反応では多くの症例で乳児期早期から6つ以上の異常を示したが, 生後4~5カ月の時点で4~5の異常にとどまる症例もみられた.原始反射では, 痙直型脳性麻痺において, 交叉性伸展反射, 恥骨上伸展反射, 踵骨反射の各反射で長期残存の傾向, 足把握反射で早期消失の傾向がみられた.
しかし, 一方では上述のいずれの評価法においても正常児と区別しえない反応が脳性麻痺児の少数例においてみられ, 脳性麻痺の早期診断のためには, 総合的評価と定期的フォローアップが不可欠と考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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