1987 年 19 巻 4 号 p. 303-308
脳性麻痺およびその危険児330例のCT所見を利用して脳損傷の程度や左右差と頭蓋変形の種類や左右差の関係を調べた. 見かけ上の皮質萎縮の左右差は頭蓋変形による物理的影響が考えられたが, 見かけ上の側脳室拡大の左右差は脳損傷の左右差を反影していると考えられた. 頭蓋変形は右後頭部平坦が左平坦の1.6倍, 側脳室拡大は左>右が右>左の4.1倍. 側脳室拡大の強い側の反対側の後頭部が平坦になっているものは同側が平坦になっているものより多く, 乳児早期には体の障害のより重い側を向いているものが多い可能性がある. 新生児や側彎児, 脳性麻痺児が右を向く原因のひとつとして一時的永続的脳損傷が左脳>右脳に起こる可能性が示唆された.