脳と発達
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先天性表皮水疱症 (常染色体性劣性遺伝栄養障害型) の1例における神経病理学的検討
篠崎 昌子猪原 玲子新井 ゆみ石崎 朝世川井 未加子坂本 皓哉篠原 猛佐藤 順一森松 義雄
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1987 年 19 巻 4 号 p. 322-327

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抄録

死亡半年前から体幹失調, 上肢伸展時の粗大な振戦が見られた先犬性表皮水疱症 (常染色体性劣性遺伝栄養障害型) の8歳男児例を報告した. 軽度脳室拡大, 脳溝開大, 白質の発達不良はすでに6歳以前より存在したものと思われたが, これが慢性の低栄養状態によるものか本疾患に生来的に伴うものかは不明であった. 脊髄後索, 脊髄小脳路, 皮質脊髄路の変性ならびに前角細胞, 脳幹神経核等での神経細胞腫大がみられたが, これはビタミンB群欠乏状態で指摘されている神経病理所見に極めて類似していた. 今後本疾患の全身管理上, 積極的な補充療法を行うべきであろう.

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© 日本小児小児神経学会
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