脳と発達
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Babkin反射の診断的意義について
二木 康之安部 治郎田中 順子岡本 伸彦
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1987 年 19 巻 5 号 p. 392-396

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抄録

追跡調査にて予後の明らかな正常小児258名, 脳性麻痺児22名, 精神発達遅滞児29名を対象として, 乳児期に施行したBabkin反射の反応性を比較し, この反射のもつ診断的意義について検討した.
正常児においては, 本反射は生後4カ月まで反応が認められた. 成熟児と未熟児の比較では, 予定日からの修正月齢であらわした場合, 反応の強さ, 月齢による反応性の推移には両者に差は認めなかった. 哺乳後時間との関係では生後2カ月までは哺乳後, 検査までの時間が1時間以上たっている群の反応は1時間未満のそれより強い傾向がみられた. 脳性麻痺群および精神発達遅滞群では正常児群に比較し, 反応が長期残存する症例が認められた. 本反射はその診断的意義に一定の限界を持っているが, この点を考慮するならば, 中枢神経障害の早期診断に有用であると思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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