1987 年 19 巻 6 号 p. 453-459
CT上, 基底核部小梗塞と診断された小児10例について, 臨床症状とCT所見の検討を行った.全例片麻痺を主症状として発症し, CT上は梗塞巣が被殻を主体として内包 (主に前脚) から尾状核に及ぶ症例が多かった. 梗塞巣の大きさ, 部位と片麻痺の程度および改善度には明らかな差はなかった. 軽微な頭部打撲の既往があったもの7例 (うち4例には先行する感冒症状を認めた), 心疾患の既往のあったもの1例で, 他の2例は基礎疾患や特別な既往歴はなかった. 脳血管撮影を施行した7例中, 血管狭窄を認めたものは3例であった. 原因としては, 外傷性以外にも感染による血管炎等も考慮する必要があり, 脳血管撮影も含めた種々の検査によって基礎疾患の充分な検索を行うことが重要であると考えられた.