脳と発達
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重症先天性多関節拘縮症の1剖検例
村上 美也子山谷 美和紺田 応子小西 徹岡田 敏夫埜中 征哉
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1987 年 19 巻 6 号 p. 497-501

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抄録

生下時よりほぼ全身の関節拘縮を示し, 経過中に仮性アルドステロン低下症を合併した, 神経原性先天性多関節拘縮症の1剖検例を報告した.
本症例では, 麻痺筋において著明な神経原性筋萎縮を認めたが, 非麻痺筋は正常な筋構築を示した. また, 麻痺筋を支配する脊髄レベルでは分節状の前角細胞障害が認められ, 本症の関節拘縮・筋萎縮の発現機序に前角細胞の特異な脱落が関与していることが示唆された. さらに, 本症例では頭頂葉錐体路起始部に脱髄巣が存在し, また, 副腎低形成・仮性アルドステロン低下症などのホルモン異常も伴っており, より中枢側の関与が示唆された.

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© 日本小児小児神経学会
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