1988 年 20 巻 1 号 p. 54-58
点頭てんかんに対するACTH療法中に, 心不全症状を呈し心エコーにて肥大型心筋症 (hypertrophic cardiomyopathy HCM) と診断した乳児例を報告した. 心不全症状は, ACTH中止により速やかに改善し, 心エコー上の心肥大も18カ月後には減少していた. 本例のHCMの発症にはACTHが関与していると考えられた. 文献例および本例からはその発生要因はあきらかでないが, 無症候性HCMも考えられる. 今後, ACTH療法中に心臓の形態や機能を経時的に測定することが重要と思われる.