脳と発達
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小児の中枢神経系感染症における発症以前の諸条件の検討
野中 千鶴平岩 幹男小林 正明菅又 久美子舟本 規昭三島 美喜子阿部 敏明
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1988 年 20 巻 4 号 p. 314-319

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抄録

中枢神経系感染症発症の危険因子を知るため, 228名を臨床所見および検査所見より漿液性髄膜炎, 化膿性髄膜炎, 急性脳炎, 急性脳症の4群に分け,(A) 生後1週までの因子, および,(B) それ以後の因子についてretrospectiveに調査し, 対照群 (マイコプラズマ肺炎, 川崎病) と比較した. 中枢神経系感染症患児においては,(B) に関しては対照と差がなかったが,(A) の周産期異常が高頻度にみられ, 中でも黄疸の既往は高率であった. また男児が女児の約2倍みられた. 男児, および周産期異常, 特に黄疸の既往が中枢神経系感染症発症の危険因子と考えられた. 後に精神発達遅滞を呈した患児13名では周産期異常はさらに高率であつた.

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© 日本小児小児神経学会
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