神経細胞に特異的に含有されるNSE (neuron-specificenolase) は髄液中では神経細胞障害の正確なマーカーであるが, 頭蓋内出血 (ICH) のごとき溶血の影響下ではその評価は困難である. しかしCK-BB (creatine kinase BB) とS100蛋白を加え3者同時に経時的測定を行う事は, ICH後におこっている脳での病態を把握する一助となると考えられた. ICH後反復腰椎穿刺により治療を行った3例では, 出血後早期にはNSEは高値で後に漸減したが, CK-BBもNSEに似た変化を示した. 一方S100蛋白は出血後1~2週に一過性再上昇がみられ, グリアの再生や増殖という観点からも非常に興味深いと考えられた.