脳と発達
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発達期脳室周囲毛細血管におけるMg+-ATPase活性の細胞化学的研究
海馬領域毛細血管との比較検討
猪俣 賢一郎那須 史男舘野 昭彦
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1989 年 21 巻 3 号 p. 245-249

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抄録

脳室上衣下出血の成因については未だに解明されたとは言い難い状況にある.我々は成因解明の一環として膜酵素であるMg+-ATPase活性を指標とし, 正常ラットを用いて周生期発達における脳室周囲毛細血管と海馬領域毛細血管とを電顕的および生化学的に比較検討した.その結果, 胎生期19日目から生後1日目にかけて, 脳室周囲毛細血管における血管内皮細胞の血管腔側細胞膜から非血管腔側細胞膜へのMg+-ATPase活性局在の優位性の変化および生化学的解析によるMg+-ATPase活性の急激な増大があった.このことから, 未熟児の仮死状態にみられやすい脳室上衣下出血の原因の一つとして, 脳室周囲毛細血管の酵素学的未熟性が挙げられる.

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© 日本小児小児神経学会
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