週齢の異なるヒト胎児脳の各構造別の体積値を求め, その発達の様相について検討した.対象は胎週齢16~27のヒト胎児脳5例, および成人脳2例である.各例毎に連続水平断切片を作成し, 画像解析装置を用いて大脳の各構造の面積を測定し, 体積を算出した.大脳の中では間脳が最も早い時期に体積の増加を示し, 大脳髄質, 大脳基底核がこれに続き, 大脳皮質の発達が最も遅かった.連続切片を作成し, 画像解析装置を用いて脳の体積を算出する方法は, 数値の正確性などの面ですぐれているだけでなく, 発達を数量的に評価する点で客観性があり, また, 得られたデータは今後の細胞レベルでの研究の基礎となるものである.