1989 年 21 巻 6 号 p. 517-522
Rett症候群の有病率を知る目的で, 徳島県内養護学校, 養護施設を対象にアンケート調査を行った. 本症の有病率は15歳以下の女児1万人あたり0.36人 (0.12~1.05) と推測され, Hagbergの報告に比べやや低値を示した.
本症の諸症状のうち, 病歴における退行現象, 現在像における特徴的な手の常同症と手の機能喪失, および自閉性が診断に重要な項目であると思われたが, 決め手となるものはなく, 個々の例において総合的に判定する必要があった.
類似症状を呈する疾患には種々のものが認められたが, 広範な脳障害を有する疾患が多かった.