1990 年 22 巻 2 号 p. 173-178
CaCO3を標準物質としたsingle energy quantitative CT (SEQCT) を用い, 日本人のhospital contro1児 (contro1児) 28例および骨代謝障害疑い29例において第3腰椎海綿骨骨塩量の測定を計58回行い, 次の結果を得た.
1) contro1男児では0から15歳までQCT値の年齢依存性を認めず, ほぼ一定であった (5歳未満: 221.8±30.2mgCaCO3/cm3, 5-9歳: 218.1±39.7mgCaCO3/cm3, 10-14歳: 217.2±30.9mgCaCO3/cm3). 女児についても0から9歳までは同様の傾向と思われたが (5歳未満: 2209±18.3mgCaCO3/cm3, 5-9歳: 240.0±29.4mgCaCO3/cm3, 10-14歳: 152mg CaCO3/cm3), 症例を重ねて更に検討する必要があると思われた.
2) 寝たきり群, ステロイド剤使用群, 抗痙攣剤使用群はcontrol児群に比し有意に低値を示した (p<0.005).
3) 寝たきり群, ステロイド剤使用群および抗痙攣剤使用群の3群間比較では, 寝たきり群がステロイド剤使用群および抗痙攣剤使用群より有意に低下していた (それぞれp<0.05, p<0.005). これらの結果は, SEQCTが小児での臨床応用に非常に有用であることを裏付けると思われた.