脳と発達
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聴性脳幹反応無反応例の神経学的特徴と病態に関する検討
沢石 由記夫冨田 豊水戸 敬
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1990 年 22 巻 3 号 p. 223-229

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抄録

聴性脳幹反応無反応の17例について, 神経学的特徴, 頭部CTおよび眼輪筋反射の結果から, それぞれの病態を検討した.無反応の病態として,(1) 末梢神経障害と (2) 末梢神経障害+脳幹障害が考えられ, 頭部CTで脳幹萎縮を認めた1例, および眼輪筋反射異常の4例は全て退行ないしは重度の運動発達遅滞児であり, 病巣として脳幹も含まれることが示唆された.また, 聴覚障害が軽度で, 脱同期による無反応と考えられる症例が5例あった.聴性脳幹反応無反応例には, 種々の異なる病態が含まれ, 発達神経学的立場から脳幹障害の有無, および聴覚障害の特徴について留意すべき必要があると考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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