脳と発達
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熱性痙攣の経過観察中に無熱性痙攣に移行したてんかん小児の臨床的特徴
小西 徹長沼 賢寛本郷 和久村上 美也子山谷 美和岡田 敏夫
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1990 年 22 巻 3 号 p. 230-234

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抄録

熱性痙攣 (FC) の経過中に無熱性痙攣に移行した46例において無熱性痙攣の発作型別に熱性痙攣の特徴, 移行までの経過, 無熱性痙攣の特徴について比較した. (1) 無熱性痙攣の発作型は全般発作11例 (G群) に対して部分発作34例 (P群) と部分発作が高頻度であった. (2) FCの特徴として, 各危険因子の保有率が両群で異なっており, 特にP群では部分発作, 発作後神経症状, 脳波異常が多く, 有意に多数の危険因子を合併していた。(3) G群ではFC発症, 最終発作から短期間で移行を認めた. (4) 無熱性痙攣の発作予後は全体に良好であったがP群で難治例を認めた.以上の様にFCから移行した全般てんかんと部分てんかんでは異なった臨床背景を有しており, てんかんへの移行機序が異なることが推察された.また, 無熱性痙攣の発作予後にFCの危険因子が関係していることが推察された.

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© 日本小児小児神経学会
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