脳と発達
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周生期脳障害とてんかん発症との関連についての検討
未熟児脳室内出血と成熟児低酸素性虚血性脳症について
大谷 和正岡本 伸彦安部 治郎二木 康之藪内 百治
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1990 年 22 巻 5 号 p. 423-428

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抄録

年6カ月以上経過観察しえた未熟児脳室内出血 (IVH) と成熟児低酸素性虚血性脳症 (HIE) に基づくてんかん発症例について臨床的検討を行った. てんかん発症例のうち, West症候群で発症したものがIVH群で7例中4例, HIE群で9例中6例とともに半数以上を占めていた. これらのてんかん発症例は全例重篤な精神神経学的合併症を有していた.IVH, HIEの症例で5年以上経過観察しえたてんかん非発症例と比較すると, IVHによるてんかん発症例には3度以上のIVH, 6日以上の人工換気, 新生児痙攣が有意に多くみられ, HIEによるてんかん発症例には人工換気, 新生児痙攣が有意に多くみられた.またHIEにおいてはてんかん発症例の背景脳波は生後1週以内に検査した8例とも高度から最高度の活動低下を示した.これらの結果, 未熟児IVH, 成熟児HIEにおける乳児期・幼児期早期のてんかん発症はその脳障害の重症度を反映しており, また, 多くの場合てんかん発症の危険児を新生児期の臨床・検査所見からある程度予測できるものと考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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