脳と発達
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Menkes病モデル動物 “macular mouse”の病態に関する研究
第2報核磁気共鳴を用いた脳代謝の検討
鶴井 聡杉江 秀夫
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キーワード: Menkes kinky hair病, 脳代謝
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1990 年 22 巻 6 号 p. 566-572

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抄録

Nuclear magnetic resonance (NMR) を用いMenkes kinky hair病のモデル動物であるmacular mouseの脳代謝を測定し, Menkes病の中枢神経障害の発生機序について検討した. invivo下の31P-NMR spectrum分析では, phosphocreatine (PCr)/inorganic phosphate (Pi) が+/y; 1.70, Ml/y; 1.15と低下しており脳内エネルギー代謝の低下を示した. さらに, ATPの減少も伴っておりエネルギー代謝の低下の原因は, 単一要因でなく, ミトコンドリア呼吸鎖障害, 二次的な循環不全等の複数の要因によるものと考えられた. in vitro下の1H-NMR spectrum分析では, PCr, creatine, 乳酸, GABA, およびN-acetylaspartate (NAA) 等をはじめとする各種アミノ酸の定性および, 定量が可能であった. Ml/yでは, 乳酸が上昇しており, 上記要因によるものと考えられた. またPCr/creatineはMl/yで低下しておりin vivoの結果と一致した. 以上, NMRを用いることにより脳代謝について多くの情報を簡便に得ることができた.

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© 日本小児小児神経学会
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