1991 年 23 巻 3 号 p. 234-239
摂食障害は重症心身障害児 (者) の日常生活や生命的予後においてきわめて重大な問題である.今回我々は摂食困難をもつ14例を対象にビデオレントゲン検査で嚥下機能を評価した.食物ではミキサー食より水分, 体位では仰臥位より座位の方が誤嚥が多かった.誤嚥は喉頭挙上期に多く, 病態では, 舌での食塊形成が悪く, 嚥下反射の遅れ, 咽頭内圧の低下がみられた.また, 摂食中に空気の嚥下が多く, そのため胃内圧が上昇し胃食道逆流がみられた.また, 経管栄養者において造影剤滴下法を使い唾液の誤嚥の可能性を示した.経管栄養者の残存する嚥下機能の簡易なスクリーニングになることを示した.造影剤には非イオン性低浸透造影剤を用いた.