1991 年 23 巻 4 号 p. 405-410
歳の時から顔を右に向け眼球を右に偏位させる痙攣発作が出現し, MRI (magnetic resonance imaging) で異所性灰白質と診断した部分てんかんの女児例を経験した. この症例に2歳11カ月からcarbamazepineやdiazepamで治療を行ったが, 眠気の増加に伴い痙攣発作が1日50~80回と頻発し, 発作型も二次性全汎化となった. 脳の器質的な疾患がある場合は, 催眠作用を有する抗痙攣剤の過剰な使用により, 痙攣発作が逆に増加する可能性がより高いと思われた. この症例のようにコントロールの難しい部分てんかん患者では, MRIの検査が必要である.