1991 年 23 巻 6 号 p. 571-576
新生児脳室内出血 (IVH) 21例のうち, 生存例は12例で, 7例 (58.3%) に水頭症の発生を認め, その中の5例がdestructive hydrocephalus (DHC) であった. 水頭症はIVHのPapileによる分類で, Grade IIIおよびIVにのみ発生し, DHCはGrade IIIの2例を除いた5例に発生した. 本症にDHCが発生する場合, IVHの際の-次脳障害が水頭症病態による二次的な脳損傷を発生しやすくしており, 急速かつ高度に脳室拡大が生ずる. したがって, Grade III以上のIVHが発生した場合, 脳実質の-次損傷に加えて水頭症病態による二次脳障害の発生が-層予後を悪化することが考察される. 治療には可及的早期に脳室シャント術を行い, 二次脳障害を最小限にとどめることが肝要である.