1992 年 24 巻 3 号 p. 278-282
MRIにて白質病変以外に視床あるいは基底核に病変を認めた急性散在性脳脊髄炎 (ADEM) の2例を報告した. 症例1は4歳男児・歩行障害および知覚異常にて発症した. MRIではT2強調画像において右前頭葉・両側側頭葉および両側視床に高信号域を認めた. 症例2は4歳女児.感染後に歩行障害にて発症した. MRIではT2強調画像において左小脳・両側尾状核・両側レンズ核前部・左後頭葉白質に高信号域を認めた. 両者とも副腎皮質ホルモン剤の投与にて軽快し, 再燃を認めていない. MRIは脱髄病変の描出に優れており, ADEMの診断に有用であると思われた.