脳と発達
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無菌性髄膜炎における髄液中2', 5'-オリゴアデニル酸合成酵素 (2-5 AS) 活性について
井上 成彰金沢 千佳子金子 堅一郎
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1992 年 24 巻 3 号 p. 289-290

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抄録

中枢神経ウイルス感染における髄液2', 5'-オリゴアデニル酸合成酵素 (2-5 AS) 活性をみるために, 無菌性髄膜炎の23例についてその活性値を調べ, うち8例では経過に伴うその値の変動をみた. (1) 無菌性髄膜炎の髄液2-5AS活性値は152.9~7,876.2pmol/dl (平均: 2,785.3±2,654.1 pmol/dl) であった. これは, 非神経疾患 (n=10, 平均: 39.9±21.0pmol/dl), 非感染性神経疾患 (n=4, 10.0~56. 0pmol/dl), 痙攣性疾患 (n=14, 平均22.0±7.3pmol/dl) に比して全例著明な高値を呈した. (2) 無菌性髄膜炎の経過に伴うその値は, 急性期には著明に上昇し, その後症状の軽快に伴って低下した. これらのことより, 髄液2-5 AS活性は, 無菌性髄膜炎のウイルス感染の判定および病状の評価に有用なマーカーになりうると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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