脳と発達
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Benign familial neonatal convulsionsの家系に発症した点頭てんかんの1例
森 健治矢野 一郎橋本 俊顕
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1992 年 24 巻 6 号 p. 581-586

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抄録

点頭てんかんの発症例を認めたbenign familial neonatal convulsions (BFNC) の1家系を報告した.本家系では, 2世代で7名に無熱性痙攣を認め, そのうち2名は新生児期に, 他の5名は2~3カ月時に痙攣を初発した.点頭てんかんを来した症例は在胎37週, 生下時体重2,562gと家系内の他の症例に比べやや低体重であったが, 仮死はなかった.本症例は生後20日頃, 捻転発作にて発症し, 生後1カ月10日頃より複雑部分発作および点頭てんかんを来した.バルプロ酸とカルバマゼピンの併用により発作は消失し脳波も正常化したが, 8カ月現在, 精神運動発達は中等度遅滞している.BFNCの家系内で点頭てんかんを発症した症例は過去の報告にはみられない.本症例の経験を通じて, BFNCに対しては慎重な経過観察が必要と考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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