脳と発達
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成熟新生児頭蓋内出血の予後判定に対する聴性脳幹反応 (ABR) の意義
根岸 宏邦李 容桂西野 昌光伊東 恭子河合 伸二高田 哲横山 直樹
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1993 年 25 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

成熟新生児頭蓋内出血41例を神経学的予後良好群と不良群に分け, それらの新生児期に記録した聴性脳幹反応 (ABR) を正常成熟新生児のものと比較検討した.
各波潜時の平均値は, I波では, 正常群, 予後良好群, 不良群となるに従い有意に延長しており, III波, V波では, 正常群と頭蓋内出血群では後者が有意に延長していたが, 予後良好群と不良群の間に有意差は無かった.
I-V波間潜時は各群間に有意差は無かった.V/I波振幅比が1.0未満を示す症例の頻度は, 予後不良群で10例中9例 (90%) であり, 予後良好群 (22.6%) に比し, 有意に高頻度で, 各波潜時よりも予後の判定により有用と考えられた.しかし新生児期に異常を呈したABRが日時の経過と共に正常化することがあり, 予後の判定には新生児期早期のABRが有用である.

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© 日本小児小児神経学会
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