抄録
水痘・帯状疱疹ウイルスによる神経合併症について臨床的に検討し, その発症機序について考察を加えた.水痘による神経合併症はまれであるが, 中には重篤なものもあり予後は必ずしも良くない.急性期, 遅発性の合併症ともにウイルスの直接的な侵襲による可能性があるとする報告が最近多くみられる.帯状疱疹髄膜炎においては, 中枢神経系内での著明な特異抗体産生がみられる.帯状疱疹による神経合併症では髄液や神経組織からウイルスや抗原が検出された例が多く報告され, 発症機序としてウイルスの直接侵襲が示唆される.治療にはacyclovirなどの抗ウイルス剤が必要であり有効である.合併症, 帯状疱疹を減少させるためにも, 予防接種の普及が望まれる.