1993 年 25 巻 2 号 p. 135-140
札幌医科大学小児科において過去7年間で42例のEpstein-Barrウイルス (EBV) 感染症を経験したが, そのうちの8例, 19%に神経症状の合併をみた.それらのうち, 神経症状の急性期における髄液が保存されていた5例について, 髄液中のEBVゲノムの検出を高感度PCR法によって試みたところ, 全例に検出できた.また, 髄液中にEBV関連抗体が存在することも確認できた.これらのことは, EBV感染症における神経症状の発現が, EBVの中枢神経組織に対する直接侵襲, あるいは抗体を巻き込んだアレルギー反応など, EBV自体が深く関わったものであることを強く示唆しており, 今後EBVの中枢神経系に対する病原性に注目する必要があると考えられた.