脳と発達
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酸マルターゼが正常な糖原病 (lysosomal glycogen storage disease with normal acid maltase) の1例
伊藤 昌弘浅野 優下平 雅之岩川 善英後藤 雄一埜中 征哉
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1993 年 25 巻 5 号 p. 459-464

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抄録

歳の学校健診でWolff-Parkinson-White症候群と診断され, 13歳で閉塞性肥大型心筋症に進展し, 筋緊張低下と血清クレアチンキナーゼの上昇がみられたため筋生検, 白血球と線維芽細胞のリソゾーム酵素の測定を施行し, 酸マルターゼが正常な糖原病と診断した1例を報告する.本疾患は, 肥大型心筋症, 軽度の精神遅滞, 軽度の筋症状を伴い, 骨格筋にグリコーゲンの蓄積と自己貧食機転の亢進をみる疾患で, 1981年のDanonらの報告以来, 10数例の報告がある.
原因不明の肥大型心筋症の中には, 本疾患が存在する可能性があるので, 何らかの筋症状や血清クレアチンキナーゼの上昇をみたら, 診断確定のために積極的に骨格筋生検を施行することが重要と思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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