脳と発達
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胎児仮死の病態生理
佐藤 章
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1994 年 26 巻 2 号 p. 119-124

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抄録

胎児仮死の病態生理は, いまだ完全に解明されていないのが現状である. しかし, 多くの動物実験の結果から, かなり, その病態生理が解明されつつある. 胎児仮死をhypoxiaとacidosisに陥った状態とすると, まず, 呼吸性acidosisから末梢血管の収縮が起こり, 次いで血流の再分配現象が起こり, 脳・副腎・心臓へ多く血流を送るようになる. Hypoxiaがより進むと代謝性acidosisに陥る. この頃には脳内でも血流再分配が起こり, 生命維持のため脳幹部へ多く血流を送るようになる. 次いで, グルタミン酸・フリーラジカル等により細胞膜の脱分極が起こり, 細胞内のCa+イオンが流入する結果, 脳細胞壊死が起こると考えられている.

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© 日本小児小児神経学会
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