1994 年 26 巻 2 号 p. 125-129
興奮性アミノ酸は脳内の主要な神経伝達物質である. その個体発生は発達早期に機能充進状態にある. このことは生理的には, 脳の発達期における軸索・樹状突起形成, シナプス形成などの可塑性に興奮性アミノ酸が重要な役割を果していることを意味している. しかし, 一方ではこの一過性機能充進状態は興奮性アミノ酸による神経毒性にさらされやすいことにもなる. 新生児低酸素性虚血性脳症における興奮性アミノ酸の過剰遊離は動物モデルではよく証明されている. そして, 興奮性アミノ酸受容体の活性化に引き続く神経細胞内遊離カルシウムイオンの増加は細胞障害性酵素の活性化, フリーラジカルの増加などを引き起こし神経細胞死を来す.